google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

ついに常陸宮の宮の姫君の顔を見た🐘🌷【源氏91 第六帖 末摘花12】髪は美しいが 顔も身体も鼻も長い。特に鼻の先は垂れて赤くなっている。源氏は呆然とした。

先刻老人たちの愁《うれ》えていた雪が

ますます大降りになってきた。

すごい空の下を暴風が吹いて、

灯の消えた時にも点《つ》け直そうとする者はない。

《なにがし》の院の物怪《もののけ》の出た夜が

源氏に思い出されるのである。

荒廃のしかたはそれに劣らない家であっても、室の狭いのと、

人間があの時よりは多い点だけを慰めに思えば思えるのであるが、

ものすごい夜で、不安な思いに絶えず目がさめた。

 

こんなことはかえって女への愛を深くさせるものなのであるが、

心を惹《ひ》きつける何物をも持たない相手に

源氏は失望を覚えるばかりであった。

やっと夜が明けて行きそうであったから、

源氏は自身で格子を上げて、

近い庭の雪の景色《けしき》を見た。

人の踏み開いた跡もなく、

遠い所まで白く寂しく雪が続いていた。

今ここから出て行ってしまうのも

かわいそうに思われて言った。

 

「夜明けのおもしろい空の色でもいっしょにおながめなさい。

 いつまでもよそよそしくしていらっしゃるのが苦しくてならない」

まだ空はほの暗いのであるが、

積もった雪の光で常よりも源氏の顔は若々しく美しく見えた。

老いた女房たちは目の楽しみを与えられて幸福であった。

「さあ早くお出なさいまし、そんなにしていらっしゃるのはいけません。

 素直になさるのがいいのでございますよ」

などと注意をすると、この極端に内気な人にも、

人の言うことは何でもそむけないところがあって、

姿を繕いながら膝行《いざ》って出た。

 

源氏はその方は見ないようにして雪をながめるふうはしながらも

横目は使わないのでもない。

どうだろう、

この人から美しい所を発見することができたら

うれしかろうと源氏の思うのは無理な望みである。

すわった背中の線の長く伸びていることが第一に目へ映った。

はっとした。

その次に並みはずれなものはだった。

注意がそれに引かれる。

普賢菩薩《ふげんぼさつ》の乗った象という獣が

思われるのである。

高く長くて、

先のほうが下に垂《た》れた形のそこだけが赤かった。

それがいちばんひどい容貌《きりょう》の欠陥だと見える。

顔色は雪以上に白くて青みがあった。

額が腫《ふく》れたように高いのであるが、

それでいて下方の長い顔に見えるというのは、

全体がよくよく長い顔であることが思われる。

《や》せぎすなことはかわいそうなくらいで、

肩のあたりなどは痛かろうと思われるほど

骨が着物を持ち上げていた。

なぜすっかり見てしまったのであろうと後悔をしながらも

源氏は、あまりに普通でない顔に気を取られていた。

【源氏物語 第六帖 末摘花】

乳母子の大輔の命婦から亡き常陸宮の姫君の噂を聞いた源氏は、

「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱いて求愛した。

親友の頭中将とも競い合って逢瀬を果たしたものの、

彼女の対応の覚束なさは源氏を困惑させた。

さらにある雪の朝、

姫君の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天する。

その後もあまりに世間知らずな言動の数々に辟易しつつも、

源氏は彼女の困窮ぶりに同情し、

また素直な心根に見捨てられないものを感じて、

彼女の暮らし向きへ援助を行うようになった。

二条の自宅で源氏は鼻の赤い女人の絵を描き、

さらに自分の鼻にも赤い絵の具を塗って、

若紫と兄妹のように戯れるのだった。

 

源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷

https://syounagon-web-1.jimdosite.com

 

💠聴く古典文学📚少納言チャンネルは、聴く古典として動画を作っております。ぜひチャンネル登録お願いします🌷