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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語532 第15帖 蓬生32】惟光は草の露を払いながら案内した。木の枝から散る雫も秋の時雨のように降る。源氏は指貫の裾を濡らしながら訪ねていく🌿


「とても中をお歩きになれないほどの露でございます。

 蓬《よもぎ》を少し払わせましてから

 おいでになりましたら」

 この惟光《これみつ》の言葉を聞いて、

 源氏は、

 尋ねても われこそ訪《と》はめ 道もなく

 深き蓬の もとの心を

と口ずさんだが、

やはり車からすぐに下《お》りてしまった。

惟光は草の露を馬の鞭《むち》で払いながら案内した。

木の枝から散る雫《しずく》も

秋の時雨《しぐれ》のように荒く降るので、

傘《かさ》を源氏にさしかけさせた。

惟光が、

木の下露は雨にまされり

(みさぶらひ御笠《みかさ》と申せ宮城野《みやぎの》の)

 でございます

と言う。

源氏の指貫《さしぬき》の裾《すそ》はひどく濡れた。

昔でさえあるかないかであった中門などは影もなくなっている。

家の中へはいるのもむき出しな気のすることであったが、

だれも人は見ていなかった。

🌿静寂の庭 written by のる🌿

 

🌷第15帖 蓬生(よもぎう)のあらすじはこちら↓

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