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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語274 第12帖 須磨8】源氏は秘めた恋人と過ごす。明け方の月が美しくて、春の花の木が盛りを失って 少しの花が若葉に咲き残った庭に 淡く霧がかかる。

🌸静かな森(Quiet forest) written by 蒲鉾さちこ🌸

三位《さんみ》中将も来て、

酒が出たりなどして夜がふけたので

源氏は泊まることにした。

女房たちをその座敷に集めて話し合うのであったが、

源氏の隠れた恋人である中納言の君が、

人には言えない悲しみを一人でしている様子を

源氏は哀れに思えてならないのである。

皆が寝たあとに源氏は中納言を慰めてやろうとした。

源氏の泊まった理由はそこにあったのである。

翌朝は暗い間に源氏は帰ろうとした。

明け方の月が美しくて、

いろいろな春の花の木が皆盛りを失って、

少しの花が若葉の蔭《かげ》に咲き残った庭に、

淡く霧がかかって、

花を包んだ霞《かすみ》がぼうとその中を白くしている美は、

秋の夜の美よりも身にしむことが深い。

隅《すみ》の欄干によりかかって、

しばらく源氏は庭をながめていた。

中納言の君は見送ろうとして妻戸をあけてすわっていた。

「あなたとまた再会ができるかどうか。

 むずかしい気のすることだ。

 こんな運命になることを知らないで、

 逢えば逢うことのできたころにのんきでいたのが残念だ」

と源氏は言うのであったが、

女は何も言わずに泣いているばかりである。

若君の乳母《めのと》の宰相の君が使いになって、

大臣夫人の宮の御挨拶《あいさつ》を伝えた。

 

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【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】

朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は

後見する東宮に累が及ばないよう、

自ら須磨への退去を決意する。

左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、

東宮や女君たちには別れの文を送り、

一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。

 

 須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、

生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、

源氏は悲しみを新たにする。

 

須磨の侘び住まいで、

源氏は都の人々と便りを交わしたり

絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。

つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、

また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、

一時の再会を喜び合った。

 

やがて三月上巳の日、

海辺で祓えを執り行った矢先に

恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、

源氏一行は皆恐怖におののいた。

 

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