二十日《はつか》の月がようやく照り出して、
夜の趣がおもしろくなってきたころ、
帝は、
「音楽が聞いてみたいような晩だ」
と仰せられた。
「私は今晩中宮が退出されるそうですから
御訪問に行ってまいります。
院の御遺言を承っていまして、
だれもほかにお世話をする人もない方でございますから、
親切にしてさしあげております。
東宮と私どもとの関係からもお捨てしておけませんのです」
と源氏は奏上した。
「院は東宮を自分の子と思って愛するようにと仰せなすったからね、
自分はどの兄弟よりも大事に思っているが、
目に立つようにしてもと思って、
自分で控え目にしている。
東宮はもう字などもりっぱなふうにお書きになる。
すべてのことが平凡な自分の不名誉を
あの方が回復してくれるだろうと頼みにしている」
「それはいろんなことを大人のようになさいますが、
まだ何と申しても御幼齢ですから」
少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷
https://syounagon-web-1.jimdosite.com
【源氏物語 第十帖 賢木 さかき】
正妻の葵の上が亡くなった。
六条御息所も晴れて源氏の正妻に迎えられるだろうと
世間は噂していた。
しかし 源氏は冷たくなり 縁が程遠くなった御息所。
彼女は 悩みながらも斎宮とともに伊勢に下ることにする。
いよいよ出発間近となった。
このまま別れるのはあまりにも忍びないと、
源氏も御息所のもとを訪ねる。
顔を合わせてしまうとやはり再び思いが乱れる御息所だったが、
伊勢へと下って行った。
桐壷院の病が重くなる。
死期を悟った院は朱雀帝に春宮と源氏のことを
遺言で託した後 ほどなく崩御してしまう。 時勢は、
左大臣側から朱雀帝の外戚である右大臣側に移って行った。
朱雀帝の優しい性格もあって、
政治は右大臣に権力が集中していった。
💠聴く古典文学📚少納言チャンネルは、聴く古典として動画を作っております。ぜひチャンネル登録お願いします🌷
- 価格: 11000 円
- 楽天で詳細を見る