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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

🌹源氏を尾行する頭中将【源氏83 第六帖 末摘花3】帝は源氏が真面目すぎて困ると仰る。庭に出たら、源氏を変装してまで 尾行してきた頭中将に遭遇。

 

「あまりにまじめ過ぎるからと

 陛下がよく困るようにおっしゃっていらっしゃいますのが、

 私にはおかしくてならないことがおりおりございます。

 こんな浮気なお忍び姿を陛下は御覧になりませんからね」

と命婦が言うと、

源氏は二足三足帰って来て、笑いながら言う。

 

「何を言うのだね。品行方正な人間でも言うように。

 これを浮気と言ったら、君の恋愛生活は何なのだ」

多情な女だと源氏が決めていて、

おりおりこんなことを面と向かって言われるのを

命婦は恥ずかしく思って何とも言わなかった。

 

女暮らしの家の座敷の物音を聞きたいように思って

源氏は静かに庭へ出たのである。

大部分は朽ちてしまったあとの少し残った透垣《すいがき》の

からだが隠せるほどの蔭《かげ》へ源氏が寄って行くと、

そこに以前から立っていた男がある。

だれであろう女王に恋をする好色男があるのだと思って、

暗いほうへ隠れて立っていた 。

初めから庭にいたのは頭中将《とうのちゅうじょう》なのである。

 

今日も夕方御所を同時に退出しながら、

源氏が左大臣家へも行かず、二条の院へも帰らないで、

妙に途中で別れて行ったのを見た中将が、不審を起こして、

自身のほうにも行く家があったのを行かずに、

源氏のあとについて来たのである。

 

わざと貧弱な馬に乗って狩衣《かりぎぬ》姿をしていた中将に

源氏は気づかなかったのであったが、

こんな思いがけない邸《やしき》へはいったのが

また中将の不審を倍にして、

立ち去ることができなかったころに、

琴を弾く音《ね》がしてきたので、

それに心も惹かれて庭に立ちながら、

一方では源氏の出て来るのを待っていた。

 

源氏はまだだれであるかに気がつかないで、

顔を見られまいとして抜き足をして庭を離れようとする時に

その男が近づいて来て言った。

 

「私をお撒《ま》きになったのが恨めしくて、

こうしてお送りしてきたのですよ。

『もろともに 大内山は出《い》でつれど

 入る方見せ ぬいざよひの月』

さも秘密を見現わしたように得意になって言うのが腹だたしかったが、

源氏は頭中将であったことに安心もされ、

おかしくなりもした。

「そんな失敬なことをする者はあなたのほかにありませんよ」

憎らしがりながらまた言った。

『里分かぬ かげを見れども 行く月の

 いるさの山を 誰《たれ》かたづぬる』

 こんなふうに私が始終あなたについて歩いたら

 お困りになるでしょう あなたはね」

「しかし、恋の成功は

 よい随身をつれて行くか行かないかで決まることもあるでしょう。

 これからはごいっしょにおつれください。お一人歩きは危険ですよ」

頭中将はこんなことを言った。

 

頭中将に得意がられていることを源氏は残念にも思ったが、

あの撫子《なでしこ》の女が自身のものになったことを

中将が知らないことだけが内心には誇らしかった。

源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷

https://syounagon-web-1.jimdosite.com

 

【源氏81 第六帖 末摘花】

乳母子の大輔の命婦から亡き常陸宮の姫君の噂を聞いた源氏は、

「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱いて求愛した。

親友の頭中将とも競い合って逢瀬を果たしたものの、

彼女の対応の覚束なさは源氏を困惑させた。

さらにある雪の朝、

姫君の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天する。

その後もあまりに世間知らずな言動の数々に辟易しつつも、

源氏は彼女の困窮ぶりに同情し、

また素直な心根に見捨てられないものを感じて、

彼女の暮らし向きへ援助を行うようになった。

二条の自宅で源氏は鼻の赤い女人の絵を描き、

さらに自分の鼻にも赤い絵の具を塗って、

若紫と兄妹のように戯れるのだった。

 

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