google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

源氏の朝寝を怪しむ頭中将【源氏89 第六帖 末摘花9】頭中将は 御所で楽と舞の役の人選で忙しい。源氏は、姫に夕方手紙を出すことができたが、訪ねなかった。


二条の院へ帰って、源氏は又寝《またね》をしながら、

何事も空想したようにはいかないものであると思って、

ただ身分が並み並みの人でないために、

一度きりの関係で退《の》いてしまうような態度の取れない点を

煩悶《はんもん》するのだった。

 

そんな所へ頭中将《とうのちゅうじょう》が訪問してきた。

「たいへんな朝寝なんですね。なんだかわけがありそうだ」

と言われて源氏は起き上がった。

「気楽な独《ひと》り寝なものですから、

いい気になって寝坊をしてしまいましたよ。御所からですか?」

「そうです。まだ家《うち》へ帰っていないのですよ。

 朱雀《すざく》院の行幸の日の楽の役と舞《まい》の役の人選が

 今日あるのだそうですから、

 大臣にも相談しようと思って退出したのです。

 そしてまたすぐに御所へ帰ります」

頭中将は忙しそうである。

「じゃあいっしょに行きましょう」

こう言って、

源氏は《かゆ》や強飯《こわめし》の朝食を

客とともに済ませた。

源氏の車も用意されてあったが

二人は一つの車に乗ったのである。

あなたは眠そうだなどと中将は言って、

「私に隠すような秘密をあなたはたくさん持っていそうだ」

とも恨んでいた。

 

その日御所ではいろんな決定事項が多くて源氏も終日宮中で暮らした。

新郎はその翌朝に早く手紙を送り、

第二夜からの訪問を忠実に続けることが一般の礼儀であるから、

自身で出かけられないまでも、

せめて手紙を送ってやりたいと源氏は思っていたが、

閑暇《ひま》を得て夕方に使いを出すことができた。

雨が降っていた。

こんな夜にちょっとでも行ってみようというほどにも

源氏の心を惹《ひ》くものは昨夜の新婦に見いだせなかった。

あちらでは時刻を計って待っていたが源氏は来ない。

命婦《みょうぶ》も女王をいたましく思っていた。

女王自身はただ恥ずかしく思っているだけで、

今朝来るべきはずの手紙が夜になってまで来ないことが

何の苦労にもならなかった。

「夕霧の晴るる けしきもまだ見ぬに

 いぶせさ添ふる 宵《よひ》の雨かな」

この晴れ間をどんなに私は待ち遠しく思うことでしょう。

と源氏の手紙にはあった。

来そうもない様子に女房たちは悲観した。

返事だけはぜひお書きになるようにと勧めても、

まだ昨夜から頭を混乱させている女王は、

形式的に言えばいいこんな時の返歌も作れない。

夜が更《ふ》けてしまうからと侍従が気をもんで代作した。

「晴れぬ夜の 月待つ里を思ひやれ

 同じ心に ながめせずとも」

書くことだけは自身でなければならないと皆から言われて、

紫色の紙であるが、 古いので灰色がかったのへ、

字はさすがに力のある字で書いた。

中古の書風である。

一所も散らしては書かず上下そろえて書かれてあった。

 

失望して源氏は手紙を手から捨てた。

今夜自分の行かないことで

女はさぞ煩悶《はんもん》をしているであろうと

そんな情景を心に描いてみる源氏も煩悶はしているのだった。

けれども今さらしかたのないことである、

いつまでも捨てずに愛してやろうと、

源氏は結論としてこう思ったのであるが、

それを知らない常陸《ひたち》の宮家の人々は

だれもだれも暗い気持ちから救われなかった。

源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷

https://syounagon-web-1.jimdosite.com

 

【源氏物語 第六帖 末摘花】

乳母子の大輔の命婦から亡き常陸宮の姫君の噂を聞いた源氏は、

「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱いて求愛した。

親友の頭中将とも競い合って逢瀬を果たしたものの、

彼女の対応の覚束なさは源氏を困惑させた。

さらにある雪の朝、

姫君の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天する。

その後もあまりに世間知らずな言動の数々に辟易しつつも、

源氏は彼女の困窮ぶりに同情し、

また素直な心根に見捨てられないものを感じて、

彼女の暮らし向きへ援助を行うようになった。

二条の自宅で源氏は鼻の赤い女人の絵を描き、

さらに自分の鼻にも赤い絵の具を塗って、

若紫と兄妹のように戯れるのだった。

💠聴く古典文学📚少納言チャンネルは、聴く古典として動画を作っております。ぜひチャンネル登録お願いします🌷