2023-03-28から1日間の記事一覧
「くれなゐの ひとはな衣《ごろも》 うすくとも ひたすら朽たす 名をし立てずば」 その我慢も人生の勤めでございますよ」 理解があるらしくこんなことを言っている命婦も たいした女ではないが、 せめてこれだけの才分でもあの人にあればよかったと 源氏は残…
その年の暮れの押しつまったころに、 源氏の御所の宿直所《とのいどころ》へ 大 輔《たゆう》の命婦《みょうぶ》が来た。 源氏は髪を梳《す》かせたりする用事をさせるのには、 恋愛関係などのない女で、 しかも戯談《じょうだん》の言えるような女を選んで…
車の通れる門はまだ開けてなかったので、 供の者が鍵《かぎ》を借りに行くと、 非常な老人《としより》の召使が出て来た。 そのあとから、娘とも孫とも見える、 子供と大人の間くらいの女が、 着物は雪との対照で あくまできたなく汚れて見えるようなのを着…