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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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夫婦は気長 辛抱 我慢?【源氏物語 15 第2帖 箒木4】男は女の操縦次第で おさまる?好き勝手させていると都合のいい女になる?

【源氏物語 第二帖 💠箒木(ははきぎ)】  〜五月雨が降る夜、光源氏が宮中で宿直をしているところに、頭中将(葵の上の兄)ら仲間の貴公子たちが訪れた。 各々自分の恋愛体験を語り、女性を三つの品、上の品、中の品、下の品と階級に分けて自分の持論を展開します。 光源氏はこの話し合いをきっかけに、それまで縁のなかった中流の女性に興味を持つようになりました。 そして、光源氏は方違えに、紀伊守の屋敷に行くことになった。 そこで伊予守の妻で、紀伊守の継母の空蝉に契を結びます(中の品の女人) 空蝉も光源氏に心惹かれますが、あまりの立場の違いから距離をとります。

 

「ですからもう階級も何も言いません。 

 容貌《きりょう》もどうでもいいとします。

  片よった性質でさえなければ、

 まじめで素直な人を妻にすべきだと思います。 

 その上に少し見識でもあれば、

  満足して少しの欠点はあってもよいことにするのですね。

  安心のできる点が多ければ、

 趣味の教育などはあとからできるものですよ。

 上品ぶって、

 恨みを言わなければならぬ時も 知らぬ顔で済ませて、

  表面は賢女らしくしていても、

 そんな人は苦しくなってしまうと、

  凄文句《すごもんく》や身にしませる歌などを書いて、

  思い出してもらえる材料にそれを残して、 遠い郊外とか、

 まったく世間と離れた海岸とかへ行ってしまいます。

  子供の時に女房などが小説を読んでいるのを聞いて、

  そんなふうの女主人公に同情したものでしてね、

  りっぱな態度だと涙までもこぼしたものです。

  今思うとそんな女のやり方は 軽佻《けいちょう》で、わざとらしい。

  自分を愛していた男を捨てて置いて、

  その際にちょっとした恨めしいことがあっても、

  男の愛を信じないように家を出たりなどして、 

 無用の心配をかけて、 

 そうして男をためそうとしているうちに 取り返しのならぬはめに至ります。 

 いやなことです。 

 りっぱな態度だなどとほめたてられると、

  図に乗ってどうかすると尼なんかにもなります。

  その時はきたない未練は持たずに、

  すっかり恋愛を清算した気でいますが、 まあ悲しい、 

 こんなにまであきらめておしまいになってなどと、

  知った人が訪問して言い、 真底から憎くはなっていない男が、

  それを聞いて泣いたという話などが聞こえてくると、

  召使や古い女房などが、

  殿様はあんなにあなたを思っていらっしゃいますのに、

  若いおからだを尼になどしておしまいになって惜しい。 

 こんなことを言われる時、

  短くして後ろ梳《ず》きにしてしまった額髪に手が行って、

  心細い気になると自然に物思いをするようになります。

  忍んでももう涙を一度流せばあとは始終泣くことになります。

  御弟子《みでし》になった上で  

 こんなことでは仏様も未練をお憎みになるでしょう。

  俗であった時よりもそんな罪は深くて、

  かえって地獄へも落ちるように思われます。 

 また夫婦の縁が切れずに、

 尼にはならずに、

  良人《おっと》に連れもどされて来ても、

  自分を捨てて家出をした妻であることを 

 良人に忘れてもらうことはむずかしいでしょう。

  悪くてもよくてもいっしょにいて、 

 どんな時もこんな時も許し合って暮らすのが ほんとうの夫婦でしょう。

  一度そんなことがあったあとでは 真実の夫婦愛がかえってこないものです。

  また男の愛がほんとうにさめている場合に

 家出をしたりすることは愚かですよ。

  恋はなくなっていても妻であるからと

 思っていっしょにいてくれた男から、

 これを機会に離縁を断行されることにもなります。

  なんでも穏やかに見て、

 男にほかの恋人ができた時にも、 

 全然知らぬ顔はせずに感情を傷つけない程度の 怨みを見せれば、

  それでまた愛を取り返すことにもなるものです。

  浮気な習慣は妻次第でなおっていくものです。

  あまりに男に自由を与えすぎる女も、

 男にとっては気楽で、

  その細君の心がけがかわいく思われそうでありますが、 

 しかしそれもですね、

 ほんとうは感心のできかねる妻の態度です。 

 つながれない船は浮き歩くということになるじゃありませんか、ねえ」

 中将はうなずいた。

 

 「現在の恋人で、

  深い愛着を覚えていながらその女の愛に

 信用が持てないということはよくない。

  自身の愛さえ深ければ 

 女のあやふやな心持ちも 直して見せることができるはずだが、

  どうだろうかね。 

 方法はほかにありませんよ。

 長い心で見ていくだけですね」 

と頭中将《とうのちゅうじょう》は言って 、

自分の妹と源氏の中はこれに当たっているはずだと思うのに、

 源氏が目を閉じたままで何も言わぬのを、 

物足らずも口惜《くちお》しくも思った。

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