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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-07-11から1日間の記事一覧

【源氏物語371 第13帖 明石33】明石入道は、源氏に娘についていろいろ話す。明石入道の愛嬌のある部分も見えた。

「ひとり寝は 君も知りぬや つれづれと 思ひあかしの うら寂しさを 私はまた長い間口へ出してお願いすることができませんで 悶々《もんもん》としておりました」 こう言うのに身は慄《ふる》わせているが、 さすがに上品なところはあった。 「寂しいと言って…

【源氏物語370 第13帖 明石32】明石入道から一人娘の話をされた源氏は、深い因縁があるのではないかと言う。その言葉に明石入道は喜ぶ。

「冤罪《えんざい》のために、 思いも寄らぬ国へ漂泊《さまよ》って来ていますことを、 前生に犯したどんな罪によってであるかと わからなく思っておりましたが、 今晩のお話で考え合わせますと、 深い因縁によってのことだったとはじめて気がつかれます。 …

【源氏物語369 第13帖 明石31】大臣の子息の明石入道。地方で暮らす中、娘は希望であった。良い縁がなく親に死に別れたら海に身を投げよと遺言した。

私自身は前生の因縁が悪くて、 こんな地方人に成り下がっておりましても、 親は大臣にもなった人でございます。 自分はこの地位に甘んじていましても 子はまたこれに準じたほどの者にしかなれませんでは、 孫、曾孫《そうそん》の末は 何になることであろう…

【源氏物語368 第13帖 明石30】明石入道は住吉の神に春秋に参詣し昼夜仏前のお勤めをし 、自分の極楽往生を差し置いて 娘のよい結婚を祈っていると源氏に話す。

「申し上げにくいことではございますが、 あなた様が思いがけなくこの土地へ、 仮にもせよ移っておいでになることになりましたのは、 もしかいたしますと、 長年の間老いた法師がお祈りいたしております神や仏が 憐《あわれ》みを一家におかけくださいまして…

【源氏物語367 第13帖 明石29】明石入道は十三弦を弾く。弾く指の運に唐風が多く混じっている。源氏も拍子を取り声も添える。入道は身の上話をする。

音楽通の自信があるような入道の言葉を、 源氏はおもしろく思って、 今度は十三絃を入道に与えて弾かせた。 実際 入道は玄人《くろうと》らしく弾く。 現代では聞けないような手も出てきた。 弾く指の運びに唐風が多く混じっているのである。 左手でおさえて…

【源氏物語366 第13帖 明石28】明石の君は、品よく美しく琵琶を弾きこなす。源氏に娘のことをいろいろ語る明石入道

「お聞きくださいますのに 何の御遠慮もいることではございません。 おそばへお召しになりましても済むことでございます。 潯陽江《じんようこう》では商人のためにも 名曲をかなでる人があったのでございますから。 そのまた琵琶と申す物はやっかいなもので…

【源氏物語365 第13帖 明石27】明石入道が娘の琴の音をお聞き入れたいとの事に対して、源氏は、お嬢さんのを聞かせていただきたいと言う。

「不思議に昔から十三絃の琴には女の名手が多いようです。 嵯峨《さが》帝のお伝えで女五《にょご》の宮《みや》が 名人でおありになったそうですが、 その芸の系統は取り立てて続いていると思われる人が見受けられない。 現在の上手というのは、 ただちょっ…

【源氏物語364 第13帖 明石26】明石入道は、延喜の聖帝から伝わった3代目の芸を継いだ者であるが娘が聞き覚えた。ぜひお聞き入れたいと源氏に言う。

源氏の意はただおおまかに女ということであったが、 入道は訳もなくうれしい言葉を聞きつけたように、 笑みながら言う、 「あなた様があそばす以上におもしろい音《ね》を出しうるものが どこにございましょう。 私は延喜《えんぎ》の聖帝から伝わりまして …

【源氏物語363 第13帖 明石25】明石入道は山手の家から琵琶と事を取り寄せて琵琶を弾いた。源氏は十三弦を弾いた。その音に入道は敬服した。

老人は涙を流しながら、 山手の家から琵琶と十三|絃《げん》の琴を取り寄せて、 入道は琵琶法師然とした姿で、 おもしろくて珍しい手を一つ二つ弾いた。 十三絃を源氏の前に置くと源氏はそれも少し弾いた。 また入道は敬服してしまった。 あまり上手がする…

【源氏物語362 第13帖 明石24】源氏は宮中での音楽の催しのことを思い出していた。愁《うれ》いを感じながら弾く音楽は凄いものであった

源氏自身も心に、 おりおりの宮中の音楽の催し、 その時のだれの琴、だれの笛、 歌手を勤めた人の歌いぶり、 いろいろ時々につけて自身の芸のもてはやされたこと、 帝をはじめとして音楽の天才として 周囲から自身に尊敬の寄せられたことなどについての追憶…

【源氏物語374 第13帖 明石36】父親の明石入道の代筆の返事が来た。返事を書かぬ娘に軽い反感が起こった。

もったいないお手紙を得ましたことで、 過分な幸福をどう処置してよいかわからぬふうでございます。 それをこんなふうに私は見るのでございます。 眺むらん 同じ雲井を 眺むるは 思ひも同じ 思ひなるらん だろうと私には思われます。 柄にもない風流気を私の…

【源氏物語361 第13帖 明石23】山手の家の方へも松風と波の音に混じって源氏の琴の音が聞こえてくる。明石入道は泣く泣く琴の音を褒め称えていた。

源氏は「広陵《こうりょう》」という曲を 細やかに弾いているのであった。 山手の家のほうへも松風と波の音に混じって聞こえてくる琴の音に 若い女性たちは身にしむ思いを味わったことであろうと思われる。 名手の弾く琴も何も聞き分けえられそうにない土地…

【源氏物語360 13帖 明石22】4月になり、明石入道は衣替えの衣服などを調製した。長閑な初夏の夕月夜が 二条の院の月夜の池のように思われた。

四月になった。 衣がえの衣服、 美しい夏の帳《とばり》などを入道は自家で調製した。 よけいなことをするものであるとも源氏は思うのであるが、 入道の思い上がった人品に対しては何とも言えなかった。 京からも始終そうした品物が届けられるのである。 の…

【源氏物語359 13帖 明石21】溺愛する一人娘の婿にと 入道は切望しながら無遠慮には言い出せない。明石の君は自分の身分の低いのを悲しむ。

こんなふうで入道は源氏に親しく扱われているのであるが、 この気高い貴人に対しては、 以前はあんなに独り決めをしていた入道ではあっても、 無遠慮に娘の婿になってほしいなどとは言い出せないのを、 自身で歯がゆく思っては妻と二人で歎《なげ》いていた…

【源氏物語358 第13帖 明石20】明石入道が元の身柄も良いせいか、頑固ではあるが古典的な趣味がわかり 素養も相当ある。源氏は彼の話を聞くことでつれずれさも紛れる。

源氏のいる所へは 入道自身すら遠慮をしてあまり近づいて来ない。 ずっと離れた仮屋建てのほうに詰めきっていた。 心の中では美しい源氏を始終見ていたくてならないのである。 ぜひ希望することを実現させたいと思って、 いよいよ仏神を念じていた。 年は六…

【源氏物語357 第13帖 明石19】明石の入道は溺愛する一人娘のことでは源氏の注意をひこうとする。しかし心の動いていくことはないのではなかった。

主人《あるじ》の入道は信仰生活をする精神的な人物で、 俗気《ぞっけ》のない愛すべき男であるが、 溺愛《できあい》する一人娘のことでは、 源氏の迷惑に思うことを知らずに、 注意を引こうとする言葉もおりおり洩《も》らすのである。 源氏もかねて興味を…