(忘れじと誓ひしことをあやまたば三笠《みかさ》の山の神もことわれ)
という歌のように私は信じています。
と書いて、また、
何事も、
しほしほと 先《ま》づぞ泣かるる かりそめの
みるめは海人《あま》の すさびなれども
と書き添えた手紙であった。
京の返事は無邪気な可憐《かれん》なものであったが、
それも奥に源氏の告白による感想が書かれてあった。
お言いにならないではいらっしゃれないほど
現在のお心を占めていますことを
お報《し》らせくださいまして承知いたしましたが、
私には新しい恋人に傾倒していらっしゃる御様子が
昔のいろいろな場合と思い合わせて想像することもできます。
うらなくも 思ひけるかな 契りしを
松より波は 越えじものぞと
おおようではあるが
くやしいと思う心も確かにかすめて書かれたものであるのを、
源氏は哀れに思った。
この手紙を手から離しがたくじっとながめていた。
🪷🎼時の残影 written by のる🪷
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