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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語662 第21帖 乙女17】内大臣は「人生などというものは、せめて好きな楽しみでもして暮らしてしまいたい」と言いながら夕霧に杯を勧める。雲居の雁の姫君はもうあちらへ帰してしまったのである。

「こちらへ」

と宮はお言いになって、

お居間の中の几帳を隔てた席へ若君は通された。

「あなたにはあまり逢いませんね。

 なぜそんなにむきになって学問ばかりをおさせになるのだろう。

 あまり学問のできすぎることは不幸を招くことだと

 大臣も御体験なすったことなのだけれど、

 あなたをまたそうおしつけになるのだね、

 わけのあることでしょうが、

 ただそんなふうに閉じ込められていて

 あなたがかわいそうでならない」

と内大臣は言った。

「時々は違ったこともしてごらんなさい。

 笛だって古い歴史を持った音楽で、

 いいものなのですよ」

内大臣はこう言いながら笛を若君へ渡した。

若々しく朗らかな音《ね》を吹き立てる笛がおもしろいために

しばらく絃楽のほうはやめさせて、

大臣はぎょうさんなふうでなく拍子を取りながら、

「萩《はぎ》が花ずり」(衣がへせんや、わが衣は野原 篠原《しのはら》萩の花ずり)など歌っていた。

 

「太政大臣も音楽などという芸術がお好きで、

 政治のほうのことからお脱《ぬ》けになったのですよ。

 人生などというものは、

 せめて好きな楽しみでもして暮らしてしまいたい」

と言いながら甥《おい》に杯を勧めなどしているうちに

暗くなったので灯《ひ》が運ばれ、

湯|漬《づ》け、菓子などが皆の前へ出て食事が始まった。

姫君はもうあちらへ帰してしまったのである。

しいて二人を隔てて、

琴の音すらも若君に聞かせまいとする内大臣の態度を、

大宮の古女房たちはささやき合って、

「こんなことで近いうちに悲劇の起こる気がします」

とも言っていた。

🌸🎼和の庭園 written by Next Arco Recordings

 

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