月のさし込んだ妻戸が少しばかり開かれてある。
そこの縁へ上がって、源氏は娘へものを言いかけた。
これほどには接近して逢おうとは思わなかった娘であるから、
よそよそしくしか答えない。
貴族らしく気どる女である。
もっとすぐれた身分の女でも
今日までこの女に言い送ってあるほどの熱情を見せれば、
皆好意を表するものであると過去の経験から教えられている。
この女は現在の自分を侮って見ているのではないかなどと、
焦慮の中には、こんなことも源氏は思われた。
🍂🎼秋、深まりて written by 蒲鉾さちこ🍂
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