やっと思いがかなった気がして、
涼しい心に入道はなっていた。
その翌日の昼ごろに
源氏は山手の家へ手紙を持たせてやることにした。
ある見識をもつ娘らしい、
かえってこんなところに
意外なすぐれた女がいるのかもしれないからと思って、
心づかいをしながら手紙を書いた。
朝鮮紙の胡桃《くるみ》色のものへきれいな字で書いた。
遠近《をちこち》も しらぬ雲井に 眺《なが》めわび
かすめし宿の 梢《こずゑ》をぞとふ
思うには。
✴︎(思ふには 忍ぶることぞ 負けにける 色に出《い》でじと 思ひしものを)
こんなものであったようである。
✴︎ 強い恋心に、忍ぶ心が負けてしまいました。決して誰にも知られないようにと思っていたのですが。
🌕月夜の空中庭園 written by こおろぎ🌕
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