明石のような田舎に
相当な乳母《めのと》がありえようとは思われないので、
父帝の女房をしていた宣旨《せんじ》という女の娘で
父は宮内卿《くないきょう》宰相だった人であったが、
母にも死に別れ、寂しい生活をするうちに恋愛関係から
子供を生んだという話を近ごろ源氏は聞き、
その噂《うわさ》を伝えた人を呼び出して、
宰相の娘に、
源氏の姫君の乳母として明石へ赴《おもむ》くことの交渉を始めさせた。
この女はまだ若くて無邪気な性質から、
寂しい あばら屋で物思いをばかりして暮らす朝夕の生活に飽いていて、
深くも考えずに、
源氏の縁のかかった所に生活のできることほど
よいこともないようにこれまでから焦《こが》れていて、
すぐに承諾して来た。
源氏は田舎《いなか》下りをしてくれる宰相の娘を哀れに思って、
いろいろと出立の用意をしてやっていた。
🪷🎼静寂の庭 written by のる🪷
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