「ますますきれいですね。
子供でいらっしった時にはじめてあなたを見て、
こんな人も生まれてくるものだろうかとびっくりしましたね。
それからもお目にかかるたびに
あなたのきれいなのに驚いてばかりいましたよ。
今の陛下があなたによく似ていらっしゃるという話ですが、
そのとおりには行かないでしょう、
やはりいくぶん劣っていらっしゃるだろうと
私は想像申し上げますよ」
長々と宮は語られるのであるが、
面と向かって美貌をほめる人もないものであると源氏はおかしく思った。
「さすらい人になっておりましたころから
非常に私も衰えてしまいました。
陛下の御美貌は古今無比とお見上げ申しております。
あなた様の御想像は誤っておりますよ」
と源氏は言った。
「では時々陛下を拝んでおればいっそう長生きをする私になりますね。
私は今日でもう人生のいやなことも皆忘れてしまいましたよ」
こんなお話のあとでも五の宮はお泣きになるのである。
💐土曜日の夜 written by のる
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