二条の院にすぐ近い地所へ
このごろ建築させている家のことを、
源氏は末摘花に告げて、
そこへあなたを迎えようと思う、
今から童女として使うのによい子供を選んで
馴らしておおきなさい。
ともその手紙には書いてあった。
女房たちの着料までも気をつけて送って来る源氏に感謝して、
それらの人々は源氏の二条の院のほうを向いて拝んでいた。
一時的の恋にも平凡な女を相手にしなかった源氏で、
ある特色の備わった女性には
興味を持って熱心に愛する人として
源氏をだれも知っているのであるが、
何一つすぐれた所のない末摘花を
なぜ妻の一人としてこんな取り扱いをするのであろう。
これも前生の因縁ごとであるに違いない。
もう暗い前途があるばかりのように見切りをつけて、
女王の家を去った人々、
それは上から下まで幾人もある旧召使が、
われもわれもと再勤を願って来た。
善良さは
稀《まれ》に見るほどの女性である末摘花のもとに使われて、
気楽に暮らした女房たちが、
ただの地方官の家などに雇われて、
気まずいことの多いのにあきれて帰って来る者もある。
見えすいたような追従も皆言ってくる。
🌱花夜行 written by のる 🌱
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