枯れ枯れになった花草もなお魅力を持つもののように思われて、
それを静かな気分でながめていられる麗人が直ちに想像され、
源氏は恋しかった。
逢いたい心のおさえられないままに、
「こちらへ伺いましたついでにお訪ねいたさないことは、
志のないもののように、誤解を受けましょうから、
あちらへも参りましょう」
と源氏は言って、縁側伝いに行った。
もう暗くなったころであったが、
鈍《にび》色の縁の御簾《みす》に黒い几帳《きちょう》の
添えて立てられてある透影《すきかげ》は身にしむものに思われた。
薫物《たきもの》の香が風について吹き通う
艶《えん》なお住居《すまい》である。
外は失礼だと思って、
女房たちの計らいで南の端の座敷の席が設けられた。
女房の宣旨《せんじ》が応接に出て取り次ぐ言葉を待っていた。
🌹🎼青い薔薇 written by ゆうり
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