御葬儀に付帯したことの皆終わったころになって
かえって帝はお心細く思召《おぼしめ》した。
女院の御母后の時代から
祈りの僧としてお仕えしていて、
女院も非常に御尊敬あそばされ、
御信頼あそばされた人で、
朝廷からも重い待遇を受けて、
大きな御祈願が
この人の手で多く行なわれたこともある僧都があった。
年は七十くらいである。
もう最後の行をするといって山にこもっていたが
僧都は女院の崩御によって京へ出て来た。
宮中から御召しがあって、
しばしば御所へ出仕していたが、
近ごろはまた以前のように君側《くんそく》のお勤めを
するようにと源氏から勧められて、
「もう夜居《よい》などは
この健康でお勤めする自信はありませんが、
もったいない仰せでもございますし、
お崩《かく》れになりました女院様への御
奉公になることと思いますから」
と言いながら夜居の僧として帝に侍していた。
静かな夜明けにだれもおそばに人がいず、
いた人は皆退出してしまった時であった。
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