今になって女院が秘密を秘密とすることに苦心されたことを、
自分が知ったことは命婦にも思われたくない、
ただ大臣にだけほのめかして、
歴史の上にこうした例があるということを
聞きたいと思召されるのであったが、
そうしたお話をあそばす機会がお見つかりにならないために
いよいよ御学問に没頭あそばされて、
いろいろの書物を御覧になったが、
支那にはそうした事実が公然認められている天子も、
隠れた事実として伝記に書かれてある天子も多かったが、
この国の書物からはさらにこれにあたる例を
御発見あそばすことはできなかった。
皇子の源氏になった人が納言になり、大臣になり、
さらに親王になり、即位される例は幾つもあった。
りっぱな人格を尊敬することに託して、
自分は源氏に位を譲ろうかとも思召すのであった。
🪷🎼枯柳 written by Heitaro Ashibe
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