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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語569 第18帖 松風33完】源氏は、明石の上との間に生まれた姫君の袴着と養育を紫の上に頼む。子ども好きの優しい紫の上は喜ぶが、子を手放す明石の上の事を考えると源氏は煩悶した。

夫人のそばへ寄って、

「ほんとうはね、かわいい子を見て来たのですよ。

 そんな人を見ると

 やはり前生の縁の浅くないということが思われたのですがね、

 とにかく子供のことはどうすればいいのだろう。

 公然私の子供として扱うことも世間へ恥ずかしいことだし、

 私はそれで煩悶《はんもん》しています。

 いっしょにあなたも心配してください。

 どうしよう、あなたが育ててみませんか、三つになっているのです。

 無邪気なかわいい顔をしているものだから、

 どうも捨てておけない気がします。

 小さいうちにあなたの子にしてもらえば、

 子供の将来を明るくしてやれるように思うのだが、

 失敬だとお思いにならなければ

 あなたの手で袴着《はかまぎ》をさせてやってください」

源氏は言うのであった。

 

「私を意地悪な者のようにばかり決めておいでになって、

 これまでから私には大事なことを

 皆隠していらっしゃるものですもの、

 私だけがあなたを信頼していることも

 改めなければならないとこのごろは私思っています。

 けれども私は 小さい姫君のお相手にはなれますよ。

 どんなにおかわいいでしょう、その方ね」

と言って、女王は少し微笑《ほほえ》んだ。

夫人は非常に子供好きであったから、その子を自分がもらって、

その子を自分が抱いて、大事に育ててみたいと思った。

どうしよう、

そうは言ったもののここへつれて来たものであろうかと

源氏はまた煩悶《はんもん》した。

 

源氏が大井の山荘を訪うことは困難であった。

嵯峨《さが》の御堂《みどう》の念仏の日を待って

はじめて出かけられるのであったから、

月に二度より逢《あ》いに行く日はないわけである。

七夕《たなばた》よりは短い期間であっても

女にとっては苦しい十五日が繰り返されていった。

🪻🎼Loneliness of the sea written by 天野 七祈 

 

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