その翌日は手紙を送るのに以前よりも人目がはばかられる気もした。
源氏の心の鬼からである。
入道のほうでも公然のことにはしたくなくて、
結婚の第二日の使いも、
そのこととして派手に扱うようなことはしなかった。
こんなことにも娘の自尊心は傷つけられたようである。
それ以後時々源氏は通って行った。
少し道程《みちのり》のある所でもあったから、
土地の者の目につくことも思って間を置くのであるが、
女のほうではあらかじめ愁《うれ》えていたことが
事実になったように取って、
煩悶《はんもん》しているのを見ては親の入道も不安になって、
極楽の願いも忘れたように、仏勤めは怠《なま》けて、
源氏の君の通って来ることを大事だと考えている。
🪷🎼止まない雨を見ていた written by キュス🪷
少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷
https://syounagon-web-1.jimdosite.com
🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画です。チャンネル登録お願いします🪷