なお修繕を加える必要のある所を、
源氏はもとの預かり人や新たに任命した家職の者に命じていた。
源氏が桂の院へ来るという報《しら》せがあったために、
この近くの領地の人たちの集まって来たのは
皆そこから明石の家のほうへ来た。
そうした人たちに庭の植え込みの草木を直させたりなどした。
「流れの中にあった立石《たていし》が皆倒れて、
ほかの石といっしょに紛れてしまったらしいが、
そんな物を復旧させたり、
よく直させたりすればずいぶんおもしろくなる庭だと思われるが、
しかしそれは骨を折るだけかえってあとでいけないことになる。
そこに永久いるものでもないから、
いつか立って行ってしまう時に心が残って、
どんなに私は苦しかったろう、帰る時に」
源氏はまた昔を言い出して、
泣きもし、笑いもして語るのであった。
こうした打ち解けた様子の見える時に
源氏はいっそう美しいのであった。
のぞいて見ていた尼君は老いも忘れ、
物思いも跡かたなくなってしまう気がして
微笑《ほほえ》んでいた。
🪷蒼白な月影 written by まんぼう二等兵 🪷
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