兄の禅師《ぜんじ》だけは稀《まれ》に
山から京へ出た時に訪《たず》ねて来るが、
その人も昔風な人で、同じ僧といっても生活する能力が全然ない、
脱俗したとほめて言えば言えるような男であったから、
庭の雑草を払わせればきれいになるものとも気がつかない。
浅茅《あさじ》は庭の表も見えぬほど茂って、
蓬《よもぎ》は軒の高さに達するほど、
葎《むぐら》は西門、東門を閉じてしまったというと
用心がよくなったようにも聞こえるが、
くずれた土塀《どべい》は牛や馬が踏みならしてしまい、
春夏には無礼な牧童が放牧をしに来た。
八月に野分《のわき》の風が強かった年以来廊などは倒れたままになり、
下屋の板葺《いたぶ》きの建物のほうはわずかに骨が残っているだけ、
下男などのそこにとどまっている者はない。
🍂🎼三味線独奏・間 written by 伊藤ケイスケ🍂
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