人のいる物音の聞こえる所があるかと捜したのであるが、
そんな物はない。
自分の想像どおりにだれもいない、
自分は往《ゆ》き返りにこの邸《やしき》は見るが、
人の住んでいる所とは思われなかったのだからと思って
惟光が足を返そうとする時に、
月が明るくさし出したので、
もう一度見ると、格子《こうし》を二間ほど上げて、
そこの御簾《みす》は人ありげに動いていた。
これが目にはいった刹那《せつな》は恐ろしい気さえしたが、
寄って行って声をかけると、
老人らしく咳《せき》を先に立てて答える女があった。
🪷お露 written by ゆうり🪷
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