侍従の叔母《おば》で少将とか申しました老人が
昔の声で話しました」
惟光はなお目に見た邸内の様子をくわしく言う。
源氏は非常に哀れに思った。
この廃邸じみた家に、どんな気持ちで住んでいることであろう、
それを自分は今まで捨てていたと思うと、
源氏は自分ながらも冷酷であったと省みられるのであった。
「どうしようかね、
こんなふうに出かけて来ることも近ごろは容易でないのだから、
この機会でなくては訪ねられないだろう。
すべてのことを総合して考えてみても
昔のままに独身でいる想像のつく人だ」
と源氏は言いながらも、
この邸へはいって行くことにはなお躊躇《ちゅうちょ》がされた。
この実感からよい歌を詠んでまず贈りたい気のする場合であるが、
機敏に返歌のできないことも昔のままであったなら、
待たされる使いがどんなに迷惑をするかしれないと思って
それはやめることにした。
惟光も源氏がすぐにはいって行くことは不可能だと思った。
🌕雪月花 written by まんぼう二等兵 🌖
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