惟光《これみつ》は自分の名を告げてから、
「侍従さんという方にちょっとお目にかかりたいのですが」
と言った。
「その人はよそへ行きました。
けれども侍従の仲間の者がおります」
と言う声は、昔よりもずっと老人じみてきてはいるが、
聞き覚えのある声であった。
家の中の人は惟光が何であったかを忘れていた。
狩衣《かりぎぬ》姿の男がそっとはいって来て、
柔らかな調子でものを言うのであったから、
あるいは狐か何かではないかと思ったが、
惟光が近づいて行って、
「確かなことをお聞かせくださいませんか。
こちら様が昔のままでおいでになるかどうかお聞かせください。
私の主人のほうでは変心も何もしておいでにならない御様子です。
今晩も門をお通りになって、
訪ねてみたく思召すふうで車を止めておいでになります。
どうお返辞をすればいいでしょう、
ありのままのお話を私には御遠慮なくして下さい」
と言うと、女たちは笑い出した。
🪷新緑芽吹く頃(The season has come,fresh greens are beginning to bud) By蒲鉾さちこ
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