侍従という乳母《めのと》の娘などは、
主家を離れないで残っている女房の一人であったが、
以前から半分ずつは勤めに出ていた斎院がおかくれになってからは、
侍従もしかたなしに 女王《にょおう》の母君の妹で、
その人だけが身分違いの地方官の妻になっている人があって、
娘をかしずいて、若いよい女房を幾人でもほしがる家へ、
そこは死んだ母もおりふし行っていた所であるからと思って、
時々そこへ行って勤めていた。
末摘花は人に親しめない性格であったから、
叔母《おば》ともあまり交際をしなかった。
「お姉様は私を軽蔑《けいべつ》なすって、
私のいることを不名誉にしていらっしゃったから、
姫君が気の毒な一人ぼっちでも私は世話をしてあげないのだよ」
などという悪態口も侍従に聞かせながら、
時々侍従に手紙を持たせてよこした。
🍃🎼心の檻 by キュス 🍃
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