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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語572 第19帖 薄雲3】明石の上は、姫君を紫の上に託すという源氏の提案に、悩みながらも それならば無心でいる今のうちに夫人の手へ譲ってしまおうかという考えが起こってきた。


「あなたが賛成しないのはもっともだけれど、

 継母の点で不安がったりはしないでおおきなさい。

 あの人は私の所へ来てずいぶん長くなるのだが、

 こんなかわいい者のできないのを寂しがってね、

 前斎宮《ぜんさいぐう》などは幾つも年が違っていない方だけれど、

 娘として世話をすることに楽しみを見いだしているようなわけだから、

 ましてこんな無邪気な人にはどれほど深い愛を持つかしれない、

 と私が思うことのできる人ですよ」

源氏は紫の女王《にょおう》の善良さを語った。

それはほんとうであるに違いない、

昔はどこへ源氏の愛は落ち着くものか想像もできないという噂が

田舎にまで聞こえたものであった源氏の多情な、

恋愛生活が清算されて、

皆過去のことになったのは今の夫人を源氏が得たためであるから、

だれよりもすぐれた女性に違いないと、こんなことを明石は考えて、

何の価値もない自分は決してそうした夫人の競争者ではないが、

京へ源氏に迎えられて自分が行けば、

夫人に不快な存在と見られることがあるかもしれない。

自分はどうなるもこうなるも同じことであるが、

長い未来を持つ子は結局夫人の世話になることであろうから、

それならば無心でいる今のうちに

夫人の手へ譲ってしまおうかという考えが起こってきた。

🪻蝶の舞う written by ゆうり

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