継母の点で不安がったりはしないでおおきなさい。
あの人は私の所へ来てずいぶん長くなるのだが、
こんなかわいい者のできないのを寂しがってね、
前斎宮《ぜんさいぐう》などは幾つも年が違っていない方だけれど、
娘として世話をすることに楽しみを見いだしているようなわけだから、
ましてこんな無邪気な人にはどれほど深い愛を持つかしれない、
と私が思うことのできる人ですよ」
源氏は紫の女王《にょおう》の善良さを語った。
それはほんとうであるに違いない、
昔はどこへ源氏の愛は落ち着くものか想像もできないという噂が
田舎にまで聞こえたものであった源氏の多情な、
恋愛生活が清算されて、
皆過去のことになったのは今の夫人を源氏が得たためであるから、
だれよりもすぐれた女性に違いないと、こんなことを明石は考えて、
何の価値もない自分は決してそうした夫人の競争者ではないが、
京へ源氏に迎えられて自分が行けば、
夫人に不快な存在と見られることがあるかもしれない。
自分はどうなるもこうなるも同じことであるが、
長い未来を持つ子は結局夫人の世話になることであろうから、
それならば無心でいる今のうちに
夫人の手へ譲ってしまおうかという考えが起こってきた。
🪻蝶の舞う written by ゆうり
少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷
https://syounagon-web-1.jimdosite.com
🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画。チャンネル登録お願いします🪷