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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語429 第14帖 澪標3 】朱雀帝は朧月夜の尚侍が頼る人がないふうに見えるのを哀れに思し召した。帝は泣いておいでになった。

帝は近く御遜位《ごそんい》の思召しがあるのであるが、

尚侍《ないしのかみ》がたよりないふうに見えるのを

憐《あわ》れに思召した。

「大臣は亡《な》くなるし、

 大宮も始終お悪いのに、

 私さえも余命がないような気がしているのだから、

 だれの保護も受けられないあなたは、

 孤独になってどうなるだろうと心配する。

 初めからあなたの愛はほかの人に向かっていて、

 私を何とも思っていないのだが、

 私はだれよりもあなたが好きなのだから、

 あなたのことばかりがこんな時にも思われる。

 私よりも優越者がまたあなたと恋愛生活をしても、

 私ほどにはあなたを思ってはくれないことはないかと、

 私はそんなことまでも考えてあなたのために泣かれるのだ」

帝は泣いておいでになった。

🪷🎼黄昏と水平線 written by 天野 七祈🪷

 

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