明石ではまた 秋の浦風の烈しく吹く季節になって、
源氏もしみじみ独棲みの寂しさを感じるようであった。
入道へ娘のことをおりおり言い出す源氏であった。
「目だたぬようにしてこちらの邸《やしき》へ
よこさせてはどうですか」
こんなふうに言っていて、
自分から娘の住居《すまい》へ通って行くことなどは
あるまじいことのように思っていた。
女にはまたそうしたことのできない自尊心があった。
田舎の並み並みの家の娘は、
仮に来て住んでいる京の人が誘惑すれば、
そのまま軽率に情人にもなってしまうのであるが、
自身の人格が尊重されてかかったことではないのであるから、
そのあとで一生物思いをする女になるようなことはいやである。
🪷🎼Chilly written by Kyaai 🪷
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