この雪が少し解けたころに源氏が来た。
平生は待たれる人であったが、
今度は姫君をつれて行かれるかと思うことで、
源氏の訪れに胸騒ぎのする明石であった。
自分の意志で決まることである、
謝絶すればしいてとはお言いにならないはずである、
自分がしっかりとしていればよいのであると、
こんな気も明石はしたが、
約束を変更することなどは軽率に思われることであると反省した。
美しい顔をして前にすわっている子を見て源氏は、
この子が間に生まれた明石と自分の因縁は
並み並みのものではないと思った。
今年から伸ばした髪がもう肩先にかかるほどになっていて、
ゆらゆらとみごとであった。
顔つき、目つきのはなやかな美しさも類のない幼女である。
これを手放すことでどんなに苦悶していることかと思うと哀れで、
一夜がかりで源氏は慰め明かした。
「いいえ、それでいいと思っております。
私の生みましたという傷も隠されてしまいますほどに
してやっていただかれれば」
と言いながらも、忍びきれずに泣く明石が哀れであった。
❄️🎼YUKIGUNI written by ハヤシユウ
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