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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

指を噛まれるのも仕方ない😓【源氏物語 17 第2帖 箒木 6】左馬頭 ぼやく🐴 指かみの女 👍一途な女性を試すようなことはやめよう🚨

【源氏物語 第二帖 💠箒木(ははきぎ)】  〜五月雨が降る夜、光源氏が宮中で宿直をしているところに、頭中将(葵の上の兄)ら仲間の貴公子たちが訪れた。 各々自分の恋愛体験を語り、女性を三つの品、上の品、中の品、下の品と階級に分けて自分の持論を展開します。 光源氏はこの話し合いをきっかけに、それまで縁のなかった中流の女性に興味を持つようになりました。 そして、光源氏は方違えに、紀伊守の屋敷に行くことになった。 そこで伊予守の妻で、紀伊守の継母の空蝉に契を結びます(中の品の女人) 空蝉も光源氏に心惹かれますが、あまりの立場の違いから距離をとります。

 「ずっと前で、まだつまらぬ役をしていた時です。

 私に一人の愛人がございました。

 容貌《ようぼう》などはとても悪い女でしたから、

 若い浮気な心には、

 この人とだけで一生を暮らそうとは思わなかったのです。

 妻とは思っていましたが 物足りなくて外に情人も持っていました。

 それでとても嫉妬をするものですから、 いやで、

 こんなふうでなく穏やかに見ていてくれればよいのにと思いながらも、

 あまりにやかましく言われますと、

 自分のような者をどうしてそんなにまで思うのだろうと

 あわれむような気になる時もあって、

 自然身持ちが修まっていくようでした。

 この女というのは、 自身にできぬものでも、

 この人のためにはと努力してかかるのです。

 教養の足りなさも自身でつとめて補って、

 恥のないようにと心がけるたちで、

 どんなにも行き届いた世話をしてくれまして、

 私の機嫌をそこねまいとする心から

 勝ち気もあまり表面に出さなくなり、

 私だけには柔順な女になって、

 醜い容貌《きりょう》なんぞも

 私にきらわれまいとして化粧に骨を折りますし、

 この顔で他人に逢《あ》っては、

 夫の不名誉になると思っては、

 遠慮して来客にも近づきませんし、

 とにかく賢妻にできていましたから、

 同棲しているうちに利巧《りこう》さに心が引かれてもいきましたが、

 ただ一つの嫉妬《しっと》癖、

 それだけは彼女自身すらどうすることもできない厄介なものでした。

 当時私はこう思ったのです。

 とにかくみじめなほど私に参っている女なんだから、

 懲らすような仕打ちに出ておどして

 嫉妬《やきもちやき》を改造してやろう、

 もうその嫉妬ぶりに堪えられない、

 いやでならないという態度に出たら、

これほど自分を愛している女なら、

 うまく自分の計画は成功するだろうと、

 そんな気で、ある時にわざと冷酷に出まして、

 例のとおり女がおこり出している時、

『こんなあさましいことを言うあなたなら、

 どんな深い縁で結ばれた夫婦の中でも私は別れる決心をする。

 この関係を破壊してよいのなら、

 今のような邪推でも何でももっとするがいい。

 将来まで夫婦でありたいなら、

 少々つらいことはあっても忍んで、

 気にかけないようにして、そして嫉妬のない女になったら、

 私はまたどんなにあなたを愛するかしれない、

 人並みに出世してひとかどの官吏になる時分には

 あなたがりっぱな私の正夫人でありうるわけだ』などと、

 うまいものだと自分で思いながら利己的な主張をしたものですね。

 女は少し笑って、

『あなたの貧弱な時代を我慢して、

 そのうち出世もできるだろうと待っていることは、

 それは待ち遠しいことであっても、私は苦痛とも思いません。

 あなたの多情さを辛抱して、

 よい良人になってくださるのを待つことは

 堪えられないことだと思いますから、

 そんなことをお言いになることになったのは

 別れる時になったわけです』

 そう口惜《くちお》しそうに言ってこちらを憤慨させるのです。

 女も自制のできない性質で、

 私の手を引き寄せて一本の指にかみついてしまいました。

 私は『痛い痛い』とたいそうに言って、

『こんな傷までもつけられた私は社会へ出られない。

 あなたに侮辱された小役人はそんなことでは

 いよいよ人並みに上がってゆくことはできない。

 私は坊主にでもなることにするだろう』

 などとおどして、

『じゃあこれがいよいよ別れだ』と言って、

 指を痛そうに曲げてその家を出て来たのです。

手を折りて 相見しことを 数ふれば

 これ一つやは君がうきふし

 言いぶんはないでしょう』

 と言うと、さすがに泣き出して、

うき節を 心一つに 数へきてこや

 君が手を 別るべきをり

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