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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第十五帖 蓬生(よもぎう)源氏物語

【源氏物語508 第15帖 蓬生8】盗人すらも外見の貧弱さに素通りをするような悲しい屋敷で 誰とも親しもうとせず 末摘花はひとりぼっちであった。

廚《くりや》の煙が立たないで なお生きた人が住んでいるという悲しい邸《やしき》である。 盗人というようながむしゃらな連中も 外見の貧弱さに愛想《あいそ》をつかせて、 ここだけは素通りにしてやって来なかったから、 こんな野良藪《のらやぶ》のような…

【源氏物語507 第15帖 蓬生7】兄の禅師は生活能力がない。末摘花の邸は、浅茅《あさじ》は庭の表も見えぬほど茂って、蓬《よもぎ》は軒の高さに達するほど荒れている。

兄の禅師《ぜんじ》だけは稀《まれ》に 山から京へ出た時に訪《たず》ねて来るが、 その人も昔風な人で、同じ僧といっても生活する能力が全然ない、 脱俗したとほめて言えば言えるような男であったから、 庭の雑草を払わせればきれいになるものとも気がつか…

【源氏物語506 第15帖 蓬生6】昔の立派なものである手道具を譲って欲しいというものもいるが、末摘花の姫君は頑強に拒む。とはいえ誰の支えもない姫君であった。

手道具なども昔の品の使い慣らしたりっぱな物のあるのを、 生《なま》物識りの骨董《こっとう》好きの人が、 だれに製作させた物、某の傑作があると聞いて、譲り受けたいと、 想像のできる貧乏さを軽蔑して申し込んでくるのを、 例のように女房たちは、 「し…

【源氏物語505 第15帖 蓬生5】よそへ移ろうという女房の言葉も「恐い気がするほど荒れていても、お父様の魂が残っていると思う点で心が慰むのだ」という末摘花。

まだ少しばかり残っている女房は、 「これではしようがございません。 近ごろは地方官などがよい邸を自慢に造りますが、 こちらのお庭の木などに目をつけて、 お売りになりませんかなどと近所の者から言わせてまいりますが、 そうあそばして、 こんな怖しい…

【源氏物語504 第15帖 蓬生4】もとから荒廃していた末摘花の屋敷は、いっそう狐の巣のようになった。気味悪く大きくなった木立ちになく梟《ふくろう》の声を毎日邸の人は聞いていた

よかった時代に昔から縁故のある女房は はじめてここに皆居つくことにもなって、 数が多くなっていたのも、 またちりぢりにほかへ行ってしまった。 そしてまた老衰して死ぬ女もあって、 月日とともに上から下まで召使の数が少なくなっていく。 もとから荒廃…

【源氏物語503 第15帖 蓬生3】常陸宮家の女房の嘆き‥貧しい暮らしから源氏の保護が加わって人並みの暮らしを知ったからこそ、今がいっそう辛く感じる。

古くからいた女房たちなどは、 「ほんとうに運の悪い方ですよ。 思いがけなく神か仏の出現なすったような親切をお見せになる方ができて、 人というものはどこに幸運があるかわからないなどと、 私たちはありがたく思ったのですがね、 人生というものは移り変…

【源氏物語502 第15帖 蓬生2】源氏の庇護で幸福であった末摘花の姫君も、源氏が須磨 明石に旅立ってからは忘れられ、底なしの貧しい身の上になった。

常陸《ひたち》の宮の末摘花《すえつむはな》は、 父君がおかくれになってから、 だれも保護する人のない心細い境遇であったのを、 思いがけず生じた源氏との関係から、 それ以来物質的に補助されることになって、 源氏の富からいえば物の数でもない情けを …

【源氏物語501 第15帖 蓬生1】真実悲しい境遇に落ちた人というのは、源氏が京を出発した際のことも 無視して行かれた恋人たちがそれであった。

源氏が須磨《すま》、明石《あかし》に 漂泊《さすら》っていたころは、 京のほうにも悲しく思い暮らす人の多数にあった中でも、 しかとした立場を持っている人は、苦しい一面はあっても、 たとえば二条の夫人などは、 源氏が旅での生活の様子もかなりくわし…

🌿源氏物語 第15帖 蓬生(よもぎう)〜光源氏が須磨へ蟄居してから帰京後までの話。

光源氏が須磨へ蟄居してから帰京後までの話。 源氏が都を追われ、後見を失った末摘花の生活は困窮を極めていた。 邸は荒れ果てて召使たちも去り、 受領の北の方となっている叔母が姫を娘の女房に迎えようとするが、 末摘花は応じない。 やがて源氏が帰京した…