「これではしようがございません。
近ごろは地方官などがよい邸を自慢に造りますが、
こちらのお庭の木などに目をつけて、
お売りになりませんかなどと近所の者から言わせてまいりますが、
そうあそばして、
こんな怖しい所はお捨てになってほかへお移りなさいましよ。
いつまでも残っております私たちだってたまりませんから」
などと女主人に勧めるのであったが、
「そんなことをしてはたいへんよ。世間体もあります。
私が生きている間は
邸を人手に渡すなどということはできるものでない。
こんなに恐い気がするほど荒れていても、
お父様の魂が残っていると思う点で、
私はあちこちをながめても心が慰むのだからね」
女王は泣きながらこう言って、
女房たちの進言を思いも寄らぬことにしていた。
🍂🎼秋の足音 written by のる 🍂
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