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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語645 第20帖 朝顔27 完】藤壺の中宮を恋しく思いながら眠りにつくと、藤壺の宮の面影が見えた。お恨めしいふうで「恋の過ちが知れてしまい恥ずかしく苦しい思いをしています」とお言いになる。

月はいよいよ澄んで美しい。夫人が、

氷とぢ 岩間の水は 行き悩み

空澄む月の 影ぞ流るる

と言いながら、外を見るために少し傾けた顔が美しかった。

髪の性質《たち》、顔だちが恋しい故人の宮にそっくりな気がして、

源氏はうれしかった。

少し外に分けられていた心も取り返されるものと思われた。

鴛鴦《おしどり》の鳴いているのを聞いて、

源氏は、

かきつめて 昔恋しき 雪もよに

哀れを添ふる 鴛鴦《をし》のうきねか

と言っていた。

 

寝室にはいってからも

源氏は中宮の御事を恋しく思いながら眠りについたのであったが、

夢のようにでもなくほのかに宮の面影が見えた。

非常にお恨めしいふうで、

「あんなに秘密を守るとお言いになりましたけれど、

 私たちのした過失《あやまち》はもう知れてしまって、

 私は恥ずかしい思いと苦しい思いとをしています。

 あなたが恨めしく思われます」

とお言いになった。

返辞を申し上げるつもりでたてた声が、

夢に襲われた声であったから、夫人が、

「まあ、どうなさいました、そんなに」

と言ったので源氏は目がさめた。

非常に残り惜しい気がして、

張り裂けるほどの鼓動を感じる胸をおさえていると、涙も流れてきた。

夢のまったく醒《さ》めたのちでも源氏は泣くことをやめないのであった。

夫人はどんな夢であったのであろうと思うと、

自分だけが別物にされた寂しさを覚えて、

じっとみじろぎもせずに寝ていた。

とけて寝ぬ 寝覚《ざ》めさびしき 冬の夜に

結ぼほれつる 夢のみじかさ

源氏の歌である。

 

夢に死んだ恋人を見たことに心は慰まないで、

かえって恋しさ悲しさのまさる気のする源氏は、

早く起きてしまって、何とは表面に出さずに、

誦経《ずきょう》を寺へ頼んだ。

苦しい目を見せるとお恨みになったのも

きっとそういう気のあそばすことであろうと源氏に悟れるところがあった。

仏勤めをなされたほかに民衆のためにも功徳を多くお行ないになった宮が、

あの一つの過失のためにこの世での罪障が消滅し尽くさずにいるかと、

深く考えてみればみるほど源氏は悲しくなった。

 

自分はどんな苦行をしても寂しい世界に

贖罪《しょくざい》の苦しみをしておいでになる中宮の所へ行って、

罪に代わっておあげすることがしたいと、

こんなことをつくづくと思い暮らしていた。

中宮のために仏事を自分の行なうことは

どんな簡単なことであっても世間の疑いを受けることに違いない、

帝《みかど》の御心《みこころ》の鬼に

思召《おぼしめ》し合わすことになってもよろしくないと源氏ははばかられて、

ただ一人心で阿弥陀仏《あみだぶつ》を念じ続けた。

同じ蓮華《れんげ》の上に生まれしめたまえと祈ったことであろう。

なき人を 慕ふ心に まかせても

かげ見ぬ水の 瀬にやまどはん

と思うと悲しかったそうである。

🪷🎼#夢幻連花 written by#のる

 

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