昔よりいっそう強い勢力を得ている源氏は、
思いやりも深くなった今の心から、
扶《たす》け起こそうとしている女王の家は、
人影もにぎやかに見えてきて、
繁《しげ》りほうだいですごいものに見えた木や草も整理されて、
流れに水の通るようになり、
立ち木や草の姿も優美に清い感じのするものになっていった。
職を欲《ほ》しがっている下家司《しもけいし》級の人は、
源氏が一人の夫人の家として世話をやく様子を見て、
仕えたいと申し込んで来て、
宮家に執事もできた。
末摘花は二年ほどこの家にいて、
のちには東の院へ源氏に迎えられ、
夫婦として同室に暮らすようなことはめったになかったのであるが、
近い所であったから、
ほかの用で来た時に話して行くようなことくらいはよくして、
軽蔑《けいべつ》した扱いは少しもしなかったのである。
大弐の夫人が帰京した時に、
どんな驚き方をしたか、
侍従が女王の幸福を喜びながらも、
時が待ち切れずに姫君を捨てて行った自身のあやまちを
どんなに悔いたかというようなことも、
もう少し述べておきたいのであるが、
筆者は頭が痛くなってきたから、
またほかの機会に思い出して書くことにする。
🌸春に寄せて written by のる🌸
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