古くさい書物|棚《だな》から、
唐守《からもり》、藐姑射《はこや》の刀自《とじ》、
赫耶姫《かぐやひめ》物語などを絵に描いた物を引き出して
退屈しのぎにしていた。
古歌などもよい作を選《よ》って、
端書きも作者の名も書き抜いて置いて見るのがおもしろいのであるが、
この人は古紙屋紙《ふるかんやがみ》とか、
檀紙《だんし》とかの湿り気を含んで厚くなった物などへ、
だれもの知っている新味などは微塵《みじん》もないようなものの
書き抜いてしまってあるのを、
物思いのつのった時などには出して拡《ひろ》げていた。
今の婦人がだれもするように経を読んだり仏勤めをしたりすることは
生意気だと思うのかだれも見る人はないのであるが、
数珠《じゅず》を持つようなことは絶対にない。
こんなふうに末摘花は古典的であった。
🍃🎼孤影 written by ハシマミ🍃
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