入道からいえば事が成就しているのであるが、
その境地で新しく物思いをしているのが憐《あわ》れであった。
二条の院の女王《にょおう》にこの噂が伝わっては、
恋愛問題では嫉妬する価値のあることでないとわかっていても、
秘密にしておく自分の態度を恨めしがられては苦しくもあり、
気恥ずかしくもあると思っていた源氏が
紫夫人をどれほど愛しているかは
これだけでも想像することができるのである。
女王も源氏を愛することの深いだけ、
他の愛人との関係に不快な色を見せたそのおりおりのことを
今思い出して、
なぜつまらぬことで恨めしい心にさせたかと、
取り返したいくらいにそれを後悔している源氏なのである。
🪷🎼孤影 written by ハシマミ🪷
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