かきつらね 昔のことぞ 思ほゆる
雁はそのよの友ならねども
須磨の里の秋🍂
十五夜の月あかりのもと 良清の歌🌕
〜次々と昔の事が懐かしく思い出されます
雁は 昔からの友達であったわけではないのだが
【12帖 須磨 すま】
初雁《はつかり》は 恋しき人の つらなれや
旅の空飛ぶ声の悲しき
と源氏が言う。
良清《よしきよ》、
かきつらね 昔のことぞ 思ほゆる
雁はそのよの友ならねども
民部大輔《みんぶたゆう》惟光《これみつ》、
心から 常世《とこよ》を捨てて 鳴く雁を
雲のよそにも 思ひけるかな
前右近丞《ぜんうこんのじょう》が、
「常世《とこよ》出《い》でて 旅の空なる かりがねも
列《つら》に後《おく》れぬ ほどぞ慰む
仲間がなかったらどんなだろうと思います」
と言った。
常陸介《ひたちのすけ》になった親の任地へも行かずに
彼はこちらへ来ているのである。
煩悶《はんもん》はしているであろうが、
いつもはなやかな誇りを見せて、
屈託なくふるまう青年である。
明るい月が出て、
今日が中秋の十五夜であることに源氏は気がついた。
宮廷の音楽が思いやられて、
どこでもこの月をながめているであろうと思うと、
月の顔ばかりが見られるのであった。
「二千里外故人心《にせんりぐわいこじんのこころ》」
と源氏は吟じた。
青年たちは例のように涙を流して聞いているのである。
【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
🍁🎼 沈む秋 written by のる
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