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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語312 第12帖 須磨46】秋風が須磨の里を吹く。源氏は目が覚め琴を弾き歌う。源氏も起きてきた惟光たちも涙を流す。

秋風が須磨の里を吹くころになった。

海は少し遠いのであるが、

須磨の関も越えるほどの秋の波が立つと行平が歌った波の音が、

夜はことに高く響いてきて、

堪えがたく寂しいものは謫居《たっきょ》の秋であった。

居間に近く宿直《とのい》している少数の者も皆眠っていて、

一人の源氏だけがさめて一つ家の四方の風の音を聞いていると、

すぐ近くにまで波が押し寄せて来るように思われた。

 

落ちるともない涙にいつか枕は流されるほどになっている。

琴《きん》を少しばかり弾《ひ》いてみたが、

自身ながらもすごく聞こえるので、弾きさして、

恋ひわびて泣く音《ね》に紛《まが》ふ浦波は

思ふ方より風や吹くらん

と歌っていた。

惟光《これみつ》たちは悽惨なこの歌声に目をさましてから、

いつか起き上がって訳もなくすすり泣きの声を立てていた。

その人たちの心を源氏が思いやるのも悲しかった。

【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】

朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は

後見する東宮に累が及ばないよう、

自ら須磨への退去を決意する。

左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、

東宮や女君たちには別れの文を送り、

一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。

 

 須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、

生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、

源氏は悲しみを新たにする。

 

須磨の侘び住まいで、

源氏は都の人々と便りを交わしたり

絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。

つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、

また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、

一時の再会を喜び合った。

 

やがて三月上巳の日、

海辺で祓えを執り行った矢先に

恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、

源氏一行は皆恐怖におののいた。

 

🍁🎼秋の足音 written by のる🍁

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