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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-07-05から1日間の記事一覧

【源氏物語297 第12帖 須磨31】夜が明けてから家を出るのは見苦しいと思って別れて行った。 道すがらも夫人の面影が目に見えて、源氏は胸を悲しみにふさがらせたまま船に乗った。

惜しからぬ 命に代へて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな と夫人は言う。 それが真実の心の叫びであろうと思うと、 立って行けない源氏であったが、 夜が明けてから家を出るのは見苦しいと思って 別れて行った。 道すがらも夫人の面影が目に見えて、 源…

【源氏物語296 第12帖 須磨30】「生ける世の 別れを知らで 契りつつ命を人に限りけるかな はかないことだった」とだけ言った。悲痛な心の底は見せまいとしているのであった

当日は終日夫人と語り合っていて、 そのころの例のとおりに 早暁に源氏は出かけて行くのであった。 狩衣《かりぎぬ》などを着て、簡単な旅装をしていた。 「月が出てきたようだ。 もう少し端のほうへ出て来て、 見送ってだけでもください。 あなたに話すこと…

【源氏物語295 第12帖 須磨29】皆が皆恩を忘れているのではないが、報復に手段を選ばない恐ろしい政府をはばかって、現在の源氏に好意を表示しに来る人はないのである。

七歳から夜も昼も父帝のおそばにいて、 源氏の言葉はことごとく通り、 源氏の推薦はむだになることもなかった。 官吏はだれも源氏の恩をこうむらないものはないのである。 源氏に対して感謝の念のない者はないのである。 大官の中にも弁官の中にもそんな人は…

【源氏物語294 第12帖 須磨28】東宮の御殿は 忍び泣きで満ちていた。世間もだれ一人今度の当局者の処置を至当と認める者はないのであった。

咲きてとく 散るは憂《う》けれど 行く春は 花の都を 立ちかへり見よ また 御運の開ける時がきっとございましょう。 とも書いて出したが、 そのあとでも他の女房たちといっしょに悲しい話をし続けて、 東宮の御殿は忍び泣きの声に満ちていた。 一日でも源氏…

【源氏物語293 第12帖 須磨27】王命婦は、その恋愛がなかったならお二人に苦しみがなかったかもしれない。自身に責任があるように思われ苦しかった。

命婦は源氏の今日の出立を申し上げて、 この手紙を東宮にお目にかけると、 御幼年ではあるがまじめになって読んでおいでになった。 「お返事はどう書きましたらよろしゅうございましょう」 「しばらく逢わないでも私は恋しいのであるから、 遠くへ行ってしま…

【源氏物語292 第12帖 須磨26】源氏は、東宮へもお暇乞いの御挨拶をした。この手紙は、桜の花の大部分は散った枝へ つけてあった。

源氏は東宮へもお暇乞いの御挨拶《あいさつ》をした。 中宮は王命婦《おうみょうぶ》を御自身の代わりに 宮のおそばへつけておありになるので、 その部屋のほうへ手紙を持たせてやったのである。 いよいよ 今日京を立ちます。 もう一度伺って宮に拝顔を得ま…

【源氏物語291 第12帖 須磨25】院の御陵で、一心に源氏が拝んでいる時に、昔のままのお姿が幻に見えた。寒けがするほどはっきりと見えた幻であった。

父帝の御陵に来て立った源氏は、 昔が今になったように思われて、 御在世中のことが目の前に見える気がするのであったが、 しかし尊い君王も過去の方になっておしまいになっては、 最愛の御子の前へも姿を お出しになることができないのは悲しいことである。…

【源氏物語290 第12帖 須磨24】やっと月が出たので、三条の宮を源氏は出て御陵へ行こうとした。供はただ五、六人つれただけである。下の侍も親しい者ばかりにして馬で行った。

やっと月が出たので、 三条の宮を源氏は出て御陵へ行こうとした。 供はただ五、六人つれただけである。 下の侍も親しい者ばかりにして馬で行った。 今さらなことではあるが 以前の源氏の外出に比べてなんという寂しい一行であろう。 家従たちも皆悲しんでい…

【源氏物語289 第12帖 須磨23】藤壺の宮の前で、初恋人への怨恨《えんこん》、父性愛、別離の悲しみが一つになって泣く源氏の姿はあくまでも優雅であった。

「こういたしました意外な罪に問われますことになりましても、 私は良心に思い合わされることが一つございまして 空恐ろしく存じます。 私はどうなりましても東宮が御無事に即位あそばせば 私は満足いたします」 とだけ言った。 それは真実の告白であった。 …