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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語51 第3巻 赦文②〈ゆるしぶみ〉】〜The Tale of the Heike🌊

ところで悪いことには、悪いことが重なるもので、

唯でさえ衰弱している中宮に、

またしても物《もの》の怪《け》がとりついたのである。

童子に物の怪を乗り移らせて占ってみると、

多くの生霊、死霊が、取りついていたことがわかった。

とりわけその内でも執念深いのは、

去る保元の乱に讃岐に流された崇徳院《すとくいん》の霊、

同じく首謀者、左大臣頼長、

新しい所では、新大納言成親、西光、

それに鬼界ヶ島の流人の生霊などであった。

 清盛は即座に沙汰を下すと、

崇徳院には、追号を捧げ、崇徳天皇とし、

頼長には、贈官贈位で太政大臣の贈位をし、

勅使として少内記惟基《しょうないきこれもと》が派遣された。

 その他さまざまの怨霊慰撫が行われたが、

このことを聞いて、門脇《かどわき》の宰相は早速重盛を訪ねた。

「中宮の御産のため様々のお祈りをなされていると聞きますが、

 何と申しましても、

 特赦にまさるものはないと思います。

 中でも、

 鬼界ヶ島の流人をお召し寄せになったらいかがでしょうか?」

重盛も尤《もっと》もなことだと思ったから、

直ぐ清盛の前にまかり出た。

「門脇の宰相が逢うたびにいろいろお嘆きになるので、

 気の毒なのですが、

 何でも近頃、中宮に物の怪がおつきになったとか、

 中には成親卿の死霊もあるとか聞いております。

 就きましては、死んだ者の霊を慰めるためにも、

 生きている少将を呼び返してやるのが、一番かと思います。

 父上、人の思いをかなえてやれば、

 自分の願いも達するとよく申すではありませんか、

 人の願いを聞き届けてやれば、

 必ず我らの望み通り皇子ご誕生間違いなしと思いますが」

さすがにいつもの清盛にも似ず、

重盛の言葉に一々うなずいていたが、

言葉も柔らかく聞き返した。

「お前のいう所はわかった。だが俊寛と康頼はどうする?」

「それも同じことでお許し下されるのが至当でしょうな。

 一人でも残したら、かえって罪作りなことと思いますが」

「さよう、康頼はまあよかろう、しかし俊寛は」

いままで穏かであった清盛の言葉が、

次第に激しい口調に変ってきた。

「きゃつはいかん、断じていかん、

 あいつは、わしの手で一人前にしてやったのに、

 それでいて、しゃあしゃあと裏切りおった。

 自分の山荘に人を集めて謀叛を企んだ憎い男だ。

 何かにつけて、人をあざむこうとした恩知らずだ。

 あの男を許すことなぞ、駄目だ。

 どうあっても駄目だ」

これ以上説いても無駄なことだと知った重盛は、

そのまま黙って前を引き下ると、

早速宰相にこの嬉しい知らせを告げた。

「どうやら、少将はご赦免になりそうですよ」

「えっ、それは本当?」

早くも宰相は涙声であった。

「あの子が島に行く時も、これしきのことで、

 何故、申し請けできないのかと言いたげに、

 私を見て泣いていた顔が忘れられないのです。

 それにしても何と嬉しいお知らせ」

「子は誰しも、可愛いものですよ。

 とにかく父にはよくよく申しておきましょう。

 もうご心配にならない方がよろしいでしょう」

と重盛は慰めるのであった。

 

鬼界ヶ島流人赦免のことは正式に決まり、

清盛から赦文《ゆるしぶみ》を貰った使者の一行は

都を立っていった。宰相は余りの嬉しさに、

自分の使いも一緒に旅立たせた。

夜を日についで急ぎの旅を続けたが、何しろ道は遠いし、

七月下旬に都を出て、

島に着いたのは九月も半ばを過ぎていた。

💐🎼英霊の墓 written by ゆうり

 

 

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