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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語277 第12帖 須磨11】これまで門前に多かった馬や車はもとより影もないのである。人生とはこんなに寂しいものであったのだと源氏は思った。

💠忘れられた場所 written by ハシマミ💠

源氏が二条の院へ帰って見ると、

ここでも女房は宵からずっと歎《なげ》き明かしたふうで、

所々にかたまって世の成り行きを悲しんでいた。

 

家職の詰め所を見ると、

親しい侍臣は源氏について行くはずで、その用意と、

家族たちとの別れを惜しむために各自が

家のほうへ行っていてだれもいない。

家職以外の者も始終集まって来ていたものであるが、

訪《たず》ねて来ることは官辺の目が恐ろしくて

だれもできないのである。

 

これまで門前に多かった馬や車はもとより影もないのである。

人生とはこんなに寂しいものであったのだと源氏は思った。

食堂の大食卓なども使用する人数が少なくて、

半分ほどは塵《ちり》を積もらせていた。

畳は所々裏向けにしてあった。

自分がいるうちにすでにこうである、

まして去ってしまったあとの家は

どんなに荒涼たるものになるだろうと源氏は思った。

 

【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】

朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は

後見する東宮に累が及ばないよう、

自ら須磨への退去を決意する。

左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、

東宮や女君たちには別れの文を送り、

一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。

 

 須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、

生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、

源氏は悲しみを新たにする。

 

須磨の侘び住まいで、

源氏は都の人々と便りを交わしたり

絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。

つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、

また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、

一時の再会を喜び合った。

 

やがて三月上巳の日、

海辺で祓えを執り行った矢先に

恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、

源氏一行は皆恐怖におののいた。

 

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