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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語276 第12帖 須磨10】物思いをしながら出ていく源氏を見ては虎も狼も泣かずにいられないであろう。左大臣家の人々は咽び泣きの声で満たされた。

💠冥の庭園 written by ハシマミ 💠

「ぜひお話ししたく存じますこともあるのでございますが、

 さてそれも申し上げられませんで

 煩悶《はんもん》をしております心をお察しください。

 ただ今よく眠っております人に今朝また逢ってまいることは、

 私の旅の思い立ちを躊躇させることになるでございましょうから、

 冷酷であるでしょうがこのまままいります」

と源氏は宮へ御挨拶《あいさつ》を返したのである。

 

帰って行く源氏の姿を女房たちは皆のぞいていた。

落ちようとする月が一段明るくなった光の中を、

清艶《せいえん》な容姿で、

物思いをしながら出て行く源氏を見ては、

《とら》も狼《おおかみ》も泣かずにはいられないであろう。

ましてこの人たちは源氏の少年時代から侍していたのであるから、

言いようもなくこの別れを悲しく思ったのである。

源氏の歌に対して宮のお返しになった歌は、

 亡き人の 別れやいとど 隔たらん

 煙となりし 雲井ならでは

というのである。

今の悲しみに以前の死別の日の涙も添って流れる人たちばかりで、

左大臣家は女のむせび泣きの声に満たされた。

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【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】

朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は

後見する東宮に累が及ばないよう、

自ら須磨への退去を決意する。

左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、

東宮や女君たちには別れの文を送り、

一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。

 

 須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、

生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、

源氏は悲しみを新たにする。

 

須磨の侘び住まいで、

源氏は都の人々と便りを交わしたり

絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。

つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、

また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、

一時の再会を喜び合った。

 

やがて三月上巳の日、

海辺で祓えを執り行った矢先に

恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、

源氏一行は皆恐怖におののいた。

 

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