常例以上はなやかにそれらの式も行なわれたのである。
長奉送使《ちょうぶそうし》、
その他官庁から参列させる高官も 勢名のある人たちばかりを選んであった。
院が御後援者でいらせられるからである。
出立の日に源氏から別離の情に堪えがたい心を書いた手紙が来た。
ほかにまた斎《いつき》の宮のお前へといって、
斎布《ゆふ》につけたものもあった。
いかずちの神でさえ恋人の中を裂くものではないと言います。
八洲《やしま》もる 国つ御神《みかみ》も こころあらば
飽かぬ別れの 中をことわれ
どう考えましても神慮がわかりませんから、私は満足できません。
と書かれてあった。
取り込んでいたが返事をした。
宮のお歌を女別当《にょべっとう》が代筆したものであった。
国つ神 空にことわる 中ならば
なほざりごとを 先《ま》づやたださん
源氏は最後に宮中である式を見たくも思ったが、
捨てて行かれる男が見送りに出るというきまり悪さを思って家にいた。
源氏は斎宮の大人びた返歌を微笑しながらながめていた。
年齢以上によい貴女になっておられる気がすると思うと胸が鳴った。
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