初めから地方官級の家に生まれた人は、
貴族をまねて、
思想的にも思い上がった人になっている者も多いのに、
この夫人は貴族の出でありながら、
下の階級へはいって行く運命を生まれながらに持っていたものか、
卑しい性格の叔母君であった。
自身が、家門の顔汚しのように思われていた昔の腹いせに、
常陸《ひたち》の宮の女王を自身の娘たちの女房にしてやりたい、
昔風なところはあるが
気だてのよい後見役ができるであろうとこんなことを思って、
時々私の宅へもおいでくだすったらいかがですか。
あなたのお琴の音《ね》も伺いたがる娘たちもおります。
と言って来た。
これを実現させようと叔母は侍従にも促すのであるが、
末摘花は負けじ魂からではなく、
ただ恥ずかしくきまりが悪いために、
叔母の招待に応じようとしないのを、
叔母のほうではくやしく思っていた。
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