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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

朧月夜‥運命の恋人【源氏物語127 第八帖 花宴11 完】酔ったふりをしながら、ため息する人に近づき 几帳越しに手を取る。ついに有明の姫君を探し当てる

「苦しいのにしいられた酒で私は困っています。

 もったいないことですが こちらの宮様に

 はかばっていただく縁故があると思いますから」

妻戸に添った御簾の下から上半身を少し源氏は中へ入れた。

「困ります。あなた様のような尊貴な御身分の方は

 親類の縁故などをおっしゃるものではございませんでしょう」

と言う女の様子には、重々しさはないが、

ただの若い女房とは思われぬ品のよさと

美しい感じのあるのを 源氏は認めた。

 

薫物《たきもの》が煙いほどに焚《た》かれていて、

この室内に起《た》ち居《い》する女の

衣摺《きぬず》の音が

はなやかなものに思われた。

奥ゆかしいところは欠けて、

派手な現代型の贅沢さが見えるのである。

令嬢たちが見物のためにこの辺へ出ているので、

妻戸がしめられてあったものらしい。

貴女《きじょ》がこんな所へ出ているというようなことに

賛意は表されなかったが、

さすがに若い源氏としておもしろいことに思われた。

 

この中のだれを恋人と見分けてよいのかと源氏の胸はとどろいた。

「扇を取られてからき目を見る」

(高麗人《こまうど》に帯を取られてからき目を見る)

戯談《じょうだん》らしくこう言って御簾に身を寄せていた。

「変わった高麗人《こまうど》なのね」

と言う一人は無関係な令嬢なのであろう。

何も言わずに時々|溜息《ためいき》の聞こえる人のいるほうへ

源氏は寄って行って、

几帳《きちょう》越しに手をとらえて、

「あづさ弓 いるさの山に まどふかな

 ほの見し月の 影や見ゆると

 なぜでしょう

 と当て推量に言うと、

その人も感情をおさえかねたか、

 心いる 方《かた》なりませば 弓張《ゆみはり》

 月なき空に 迷はましやは  

と返辞をした。

弘徽殿《こきでん》の月夜に聞いたのと同じ声である。

源氏はうれしくてならないのであるが。

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【源氏物語 第八帖 花宴 はなのえん】

如月に紫宸殿で催された桜花の宴で、

光源氏は頭中将らと共に漢詩を作り舞を披露した。

宴の後、朧月夜に誘われふと入り込んだ弘徽殿で、

源氏は廊下から聞こえる歌に耳を澄ます。

照りもせず 曇りも果てぬ 春の夜の 

 

朧月夜に似るものぞなき

源氏はその歌を詠んでいた若い姫君と出逢い契りを交わす。

 

素性も知らぬままに扇を取り交わして別れた姫君こそ、

春宮への入内が決まっている右大臣の

六の君(朧月夜)だった。

 

一月後、

右大臣家の藤花の宴に招かれた源氏は

装いを凝らして訪れた。 

右大臣にかなり呑まされ、

酔いを醒ますためその場を離れた源氏。

 

偶然通りかかったところで、

御簾のうちにいる六の君を発見。

歌を詠みかけるが(催馬楽「石川」)、

事情を知らない六の君の姉妹たちは

「おかしな高麗人がいるものね」と訝しがる。

ついに見つけ出した、

源氏はさりげなく姫君の手を握った。

 

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