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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

夫と妻のすれ違い【源氏物語124 第八帖 花宴8】若紫の姫君は少しずつ大人になる。葵の上は相変わらず つれない。源氏は琴を弾きながら歌っていた。


この二、三日間に宮中であったことを語って聞かせたり、

琴を教えたりなどしていて、

日が暮れると源氏が出かけるのを、

紫の女王は少女心に物足らず思っても、

このごろは習慣づけられていて、

無理に留めようなどとはしない。

 

左大臣家の源氏の夫人は例によってすぐには出て来なかった。

いつまでも座に一人でいてつれづれな源氏は、

夫人との間柄に一抹《いちまつ》の寂しさを感じて、

琴をかき鳴らしながら、

「やはらかに寝《ぬ》る夜はなくて」

と歌っていた。

 

左大臣が来て、

花の宴のおもしろかったことなどを源氏に話していた。

「私がこの年になるまで、

 四代の天子の宮廷を見てまいりましたが、

 今度ほどよい詩がたくさんできたり、

 音楽のほうの才人がそろっていたりしまして、

 寿命の延びる気がするようなおもしろさを

 味わわせていただいたことはありませんでした。

 ただ今は専門家に名人が多うございますからね、

 あなたなどは

 師匠の人選がよろしくてあのおできぶりだったのでしょう。

 老人までも舞って出たい気がいたしましたよ」

 

「特に今度のために稽古《けいこ》などはしませんでした。

 ただ宮廷付きの中でのよい楽人に参考になることを

 教えてもらいなどしただけです。

 何よりも頭中将柳花苑《りゅうかえん》がみごとでした。

 話になって後世へ伝わる至芸だと思ったのですが、

 その上あなたがもし当代の礼讃《らいさん》に

 一手でも舞を見せてくださいましたら

 歴史上に残ってこの御代《みよ》の誇りになったでしょうが」

こんな話をしていた。

弁や中将も出て来て高欄に背中を押しつけながら

また熱心に器楽の合奏を始めた。 

 

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【源氏物語 第八帖 花宴 はなのえん

如月に紫宸殿で催された桜花の宴で、

光源氏は頭中将らと共に漢詩を作り舞を披露した。

宴の後、朧月夜に誘われふと入り込んだ弘徽殿で、

源氏は廊下から聞こえる歌に耳を澄ます。

照りもせず 曇りも果てぬ 春の夜の 

 

朧月夜に似るものぞなき

源氏はその歌を詠んでいた若い姫君と出逢い契りを交わす。

 

素性も知らぬままに扇を取り交わして別れた姫君こそ、

春宮への入内が決まっている右大臣の

六の君(朧月夜)だった。

 

一月後、

右大臣家の藤花の宴に招かれた源氏は

装いを凝らして訪れた。 

右大臣にかなり呑まされ、

酔いを醒ますためその場を離れた源氏。

 

偶然通りかかったところで、

御簾のうちにいる六の君を発見。

歌を詠みかけるが(催馬楽「石川」)、

事情を知らない六の君の姉妹たちは

「おかしな高麗人がいるものね」と訝しがる。

ついに見つけ出した、

源氏はさりげなく姫君の手を握った。

 

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