帰りえた満足感が大きくて、
ただの恋人たちの所などへは
足が向かない時期でもあったから、
常陸の宮の女王はまだ生きているだろうか
というほどのことは時々心に上らないことはなかったが、
捜し出してやりたいと思うことも、
急ぐことと思われないでいるうちにその年も暮れた。
四月ごろに花散里《はなちるさと》を訪ねて見たくなって
夫人の了解を得てから源氏は二条の院を出た。
幾日か続いた雨の残り雨らしいものが降って
やんだあとで月が出てきた。
青春時代の忍び歩きの思い出される艶《えん》な夕月夜であった。
🪷零れる涙 written by ゆうり🪷
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