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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語524 第15帖 蓬生24】頼りにしていた侍従までも去り、仕える者たちも他に勤め先を探している。丈の高い雑草に囲まれた中の家で 末摘花は一人で寂しく暮らした。


「侍従はどうしました。暗くなりましたよ」

大弐《だいに》夫人に小言《こごと》を言われて、

侍従は夢中で車に乗ってしまった。

そしてあとばかりが顧みられた。

困りながらも長い間離れて行かなかった人が、

こんなふうにして別れて行ったことで、

女王はますます心細くなった。

だれも雇い手のないような老いた女房までが、

「もっともですよ。どうしてこのままいられるものですか。

 私たちだってもう我慢ができませんよ」

こんなことを言って、

ほかへ勤める手蔓《てづる》を捜し始めて、

ここを出る決心をしたらしいことを言い合うのを聞くことも

末摘花の身にはつらいことであった。

十一月になると《みぞれ》の日が多くなって、

ほかの所では消えている間があっても、

ここでは丈の高い枯れた雑草の蔭《かげ》などに

深く積もったものは量《かさ》が高くなるばかりで

《こし》の白山《はくさん》をそこに置いた気がする庭を、

今はもうだれ一人出入りする下男もなかった。

こんな中に

つれづれな日を送るよりしかたのない末摘花の女王であった。

泣き合い笑い合うこともあった侍従がいなくなってからは、

夜の塵《ちり》のかかった帳台の中で

ただ一人寂しい思いをして寝た。

🪷秋雨と共に(Autumn rain with you) by 蒲鉾さちこ🪷  

 

🌷第15帖 蓬生(よもぎう)のあらすじはこちら↓

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